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最高裁判所第二小法廷 昭和49年(オ)821号 判決

主文

理由

上告代理人東亮明、同荻原平、同荻原武彦、同横山弘美の上告理由第一点及び第四点について。

所論の点に関する原審の事実認定は、原判決挙示の証拠関係に照らして是認することができる。そして、原審が確定した事実関係のもとにおいては、本件代物弁済の予約は、債権担保のためのいわゆる仮登記担保権の設定契約であつて、債権者は、目的不動産の換価処分時において、その換価額が債権額(換価に要した相当費用額を含む。)を超えるかぎり、その差額を清算金として支払うべき義務を負い、他方、債務者は、右換価処分時までは債務の全額(換価に要した相当費用額を含む。)を弁済して仮登記担保権を消滅させ、目的不動産の完全な所有権を回復することができる内容のものと解すべきであり、これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができる。所論は独自の見解に立つて原判決を非難するものにすぎない。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

同第二点及び第四点について。

本件記録によれば、原審において上告人らが所論の事実を主張していたことは認められない。また、本件訴訟の経緯に鑑みれば、原審が所論の点を釈明しなかつたことをもつて違法とはいえない。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

同第三点について。

本件記録に徴すれば、原審が上告人らに対し金員支払を命じた部分について仮執行の宣言を付したことをもつて違法とはいえない。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

(裁判長裁判官 吉田 豊 裁判官 岡原昌男 裁判官 小川信雄 裁判官 大塚喜一郎)

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